コーヒーを淹れるとき、2~4分の間で抽出する、ある意味「猶予」があります。エスプレッソの場合は猶予がないといってよく、30秒足らずの抽出時間内に完璧さを求められます。さいわい9気圧92℃の熱湯を安定して出せる良いマシンがあったとします。けれど、豆を挽く細かさ(粒度)、フィルターバスケットへの詰め方(ドーシング)、バスケット内のコーヒーパウダーを安定圧着(タンピング)、この3つの要素が適切でないと、美味しいエスプレッソを抽出することができません。
にもかかわらず、どんなに完璧な抽出をしても肝心のコーヒー豆がダメなら旨いエスプレッソには出会えません。いかに豆が大切かは、どんな方法であれ抽出に専心している人なら分かります。ペーパーやネルを使ったドリップ、フレンチプレス、サイフォン、どの抽出方法も決め手はコーヒー豆だと行き着くでしょう。最後の砦ではないのですが、攻略の砦に鎮座する王はコーヒー豆だったわけです。
自分はエスプレッソしか飲まない期間が5年ほどありましたが、今ではたまにしか飲みません。これは嫌でも基本に戻るしかなくなったからで、コーヒーそのものを知る必要に追い込まれたからです。
あまり遠回りしすぎないないために、「良い豆」を探し求め、それぞれの豆の個性が理解できるような作業を優先しています。Beans of King であり Luv Beans なのであります。