パーチメントコーヒー

コーヒーの果実には、2つの種子が向かい合って入っています。果肉を取り去って、きれいに洗うとこのパーチメントコーヒーになります。

伝統的な水洗式の精選方法では、まず果肉を剥き取ってから発酵槽に漬け、酵素と微生物の助けを借りて粘液質のミューシレージを取り除きます。そのあとよく洗い流し、天日や機械でムラなく乾燥させたものがパーチメントコーヒーです。

さらっと言ってますが、生産者にとっては苦労の多い大変な作業にちがいありません。どれだけがんばって素晴らしい豆に育てても、これらの行程のどこかでミスをすれば台なしになってしまいますから。

 

パーチメントと呼ばれる殻をパリっと割ると、薄皮の中にちらりとコーヒーの生豆が見えました。命をつなぐ種子だけに、多重構造で守られているわけです。

イ ンドネシアには、コピ・ルアックという希少なコーヒーがあります。映画「かもめ食堂」では、味な役どころで登場していました。どんなコーヒーなのかというと、真っ赤に完熟した美味しいコーヒーの実をジャコウネコが食べ、消化されずに排泄された種子、ぶっちゃけウンコに混ったパーチメントコーヒーを集めたものになります。つまり、ジャコウネコは理想的に熟した果実を選んで食べるので、コーヒーとしての旨さが約束されたようなものなんでしょうね。

コーヒーの苗木を育てるときは、パーチメントを割らずにそのまま苗床に蒔くそうです。動物が消化できない殻を割って芽を出すのだから、コーヒーもたいしたものです。

 

ぼくはインドネシア共和国、スマトラ島生まれのマンデリン。もちろんアラビカ種です、えっへん。

コピ・ルアックほど珍重されないし値段は安いけど、昔は「ブルーマウンテンに次ぐ美味なコーヒー」とまで褒められたことだってあるんですよ。

べつに味が落ちたわけじゃなくて、美味しくてカッコいいコーヒーが次々現われて来るものだから、まあちょっとたしかに影はうすいかもしれません。なんちゃって。

 

などと本人は言っていますが、マンデリンはどの子も非常に個性的で、商業的に重要な銘柄です。