印象的な一言 3

月刊誌の取材で1年間ご一緒した小泉武夫先生に、以前こんな質問をしました。ワインやカルバドスは果物が原料だからわかりますが、大吟醸は米なのになぜあそこまでフルーティになるのでしょうか? すると先生はガハハと笑い、菌と杜氏が織りなす発酵の神秘なのだよ、といったような回答をくれました。ポカンとしていると、まあ詳しくは俺の本を読みなさいと言い、「でもな、大吟醸は厚化粧のババアみたいで苦手なんだ」と一言。。 物議を醸しそうな発言ですが、不確かな記憶をもとに書いた台詞なので切にご容赦を。代々続く酒蔵に育った先生にしては、意外すぎるアッパーカットでした。

なぜこんな話をするかというと、その1の冒頭で引用した、田口護さんのつぶやきを読んで思い出したからです。たしかにフルーティで華やかなのだけど、「主張が厚かましくてハシタナイ」とも受け取れます。戦後の質素な生活を知っているお二人にとって、これみよがしなケバケバしさに感じられるのかもしれません。小泉先生は「男は黙って純米酒。しかし、選ぶなら焼酎だなあ」とも言っていました。おぼろげにサムライという文字が浮かんできて、ちょっと忘れられない一言でした。お二人ぐらい物事を知り尽くすと、このような境地に達するんでしょうか。

ところで、先生の「FT革命」はノーベル平和賞ものだと思う