それからしばらく店探しが続き、昨年の夏、めでたく焙煎のお手本にしたいコーヒー屋さんが兵庫に見つかりました。焦げや煙の臭いはもちろん、焼き手の気配すらないんです。つまり焙煎している岡崎さんという方は、豆の個性をどこまで引き出せるか熱中しているんではないかと思いました。シングルオリジンの性格を知ろうとするとき、焼き手の主張が出すぎるとマイナスでしかありません。自分の不安定でウザイ焙煎に苛立っていただけに、ついに見つけた!とガッツポーズです。
単品銘柄を注文しはじめてすぐ、エチオピアのイルガチェフェに出会いました。香味の特徴は、ゲイシャに良く似たフルーティー系です。甘酸っぱく華やかで、原色の花や現地の人の歌や踊りまで浮かんできました。ゲイシャを飲む前だったから、よけいインパクトが強かったのでしょう。「もはやコーヒーじゃない、魔力的に旨すぎます、やばいアルカロイドが入っていませんか?」とメールしたところ、「香気成分は生豆で200種、煎り豆で650種確認されています。面白い事にロブスタも全く同じ成分で、どちらかだけにという成分はなく、成分量のバランスの違いが香りの違いに繋がっています」とのお返事が。。
この方の返事はけっこう難しく、言っている意味を知ろうとすると色々調べる必要がありました。おかげさまで、質問すればするほど、少しづつ自分の身になっているような気がします。