メキシコ/超完熟ティピカ

共通した特徴の見える生豆を選んで並べてみました。やや先細りな楕円形、というか卵型に近いかな? センターカット面にわずかなへこみがあって、小船みたいで可愛いです。

ところどころシルバースキンが剥がれずに固着しているものの、十分すぎるきれいさです。ちなみに100g中、明らかな欠点は2粒だけです。イルガチェフェそっくりのピーベリーが、おそらく1%に満たない割合で混じっている程度の粒揃いでした。

スクリーンや欠点の規格がないにもかかわらず、さすがスペシャルティコーヒーといったところ。生産者と買い付ける人たちの努力のたまものなんでしょうね。

 

同じく特徴のよく見える、焙煎後の豆を集めてみました。生豆では船の形にくぼんでいましたが、焙煎後は膨らんでなかなかグラマラスな姿です。

センターカットの片端が斜めに切り込んでいるところはコロンビアにも似ているし、やわらかくS字に湾曲しているところはブルボンにも似ています。でも、コロンビアはスプレモでもここまで大粒ではないし、これほど楕円形でもない。あと、センターカットの白さから、精選方法がナチュラルのブラジルではないと区別できます。とはいえ、これが代表的なティピカの姿なのか、もっと調べないと特定はとてもできそうにありません。何はともあれ、見るからに美味しそうなルックスです。一目惚れして しまいました。

 

情緒抜きでガツンと迫ってみました。どうでしょう、育ちのいい印象を受けませんか?  褐色色素が表面までにじみ出て、いかにも旨そうです。深いハゼの亀裂も美味しさの証に思えてきます。
カッピングしてみると、フルーティーな明るい香りが飛び込んできました。口に含むと、ネーブルを連想させる果実の甘みが柔らかく広がります。どこかコロンビア・ゲイシャに似たコーヒーですが、さらにコクは少なめです。香りを活かすため浅めに焙煎されていて、やや酸味は立ちます。酸っぱいのが苦手という人は、 一段細かく挽いて、ゆっくり抽出すると好みに合うかもしれません。

「メキシコの葉巻は不味い」先入観で期待していなかっただけに、冷めはじめた頃合いの甘さと、爽やかなアフターテイストは格別でした。ブレンドにはない、シングルオリジンならではの個性を楽しめるコーヒーです。

 

● Beans Data ●

生産地: メキシコ合衆国、オアハカ州プルマ・イダルゴ地区 品種: ティピカ 標高: 1,200~1,500m 規格: SHG(Strictly High Grown) スクリーンサイズ欠点ともに規格なし 精選方法: 水洗式(Fully Washed) 収穫年度: 2010/2011クロップ 掲載写真の焙煎度: ハイ