パナマ/BOP/ヴァレンティーナ農園(カトゥアイ)

中米産っぽい丸型の豆を外し、上にピーベリー、下に大半を占める特徴的な豆を並べています。品種はカトゥアイ1種に特定されているので、おそらく下の豆が代表的な姿になるのでしょうか。しかし外した丸型がカトゥアイだったらと、慌ててサンプルの100gを徹底的に分けました。これを計りにかけたところ、楕円形もしくは卵型が76%、丸型が18%、ピーベリーが6%という割合でした。スクリーン規格がないので大きさはバラバラです。ニュークロップのせいか、混ぜてしまえばまったく違和感はありません。ちなみに欠点は、欠け豆と一部黒豆の2粒。欠点に該当しないような、小さな部分変質が4粒です。全体の印象は、末尾のBeans Dataを見てもらった方がよく伝わると思います。

煎り豆は見るからに旨そうで期待がふくらみます。面白いのは挽く前からミルクの匂いがするところでした。挽いてみると印象はがらりと変わり、果実、ウッディ、スパイス。湯を注ぐと、ミルクココア、キャラメル、ナッツといった甘い香り。口に含むと、やはりミルキーな甘味、ネーブルの濃い甘味、かすかな渋みを帯びた苦味と酸味がグレープフルーツも連想させます。おまけにイチゴミルクの印象まであって、今まで一度も飲んだことがない複雑な味わいのコーヒーでした。暗い感じの複雑さと正反対で、色彩あふれる陽気な複雑さです。コスタリカのレーチェ・ハニーもよく似たミルクの匂いと味がしますが、このコーヒーの場合、様々な果物やココアが重なる摩訶不思議なミルキーさなのです。
ドリップやプレスで何度か試したところ、これらの印象はバランス絶妙なようでいて、混沌としているようでもあります。コクが霞んでしまうほど、賑やかなキャラクタを持った旨いコーヒーです。パナマ・スペシャルティコーヒー協会による”Best of Panama”受賞は当然なのでしょう。生産者や関係者の笑顔が浮かんでくるような、愉快さや喜びのあるコーヒーです。

2011年9月16日 Googleトップページ画像を転載

2011年9月16日のGoogleロゴが、偶然このコーヒーのイメージでした。ビタミンCの生みの親である科学者、セント=ジェルジ・アルベルトの生誕118周年だったそうです。こういうことしていいのか、保存したロゴを貼ってみます。

産地のChiriqui, Boqueteの気候は一年を通して涼しく、常春、花、コーヒーの町として有名なようです。コスタリカ国境にほど近く、先のレーチェ・ハニーの産地ともそう遠くありません。何やらつながりを感じます。風土と人が関わって生まれるコーヒー、まことに不思議です。かつ、どうしようもなく魅力的です。

 

● Beans Data ●

生産地: パナマ共和国、チリキ県ボケテ地区、ヴァレンティーナ農園 品種: カトゥアイ 標高: 1,600m スクリーンサイズ欠点ともに規格なし 精選方法: 水洗式(Fully Washed) 収穫年度: 2011クロップ 掲載写真の焙煎度: シティ ベストオブパナマ2011受賞