パカマラ1種と特定されているとおり、ほとんどの豆は見事に大粒です。下側に固めた小さな豆は、全体の1割に満たない比率でした。小粒に見えるものの中米では平均的なサイズで、スクリーンサイズは15~17ありました。全体がいかに大粒か分かります。
このパカマラは、ブルボンの自然突然変異であるパカスと、ブラジルで発見されたティピカの自然突然変異であるマラゴジッペとの交配種です。1958年にエルサルバドルで発祥して以来現在も栽培され、風味の良さから次第に中米諸国へ広がりつつあるようです。
左の写真は100g中に見つかった独特な変形豆です。欠け豆は明らかな欠点ですが、他のどれだけが欠点と判断されるのかは不明です。特徴はセンターカットがせり上がって突起しているところでしょうか。また、センターカットがひしゃげて潰れたものは、ブルボン系の亜種でもよく見られます。それぞれ変異した品種で交配を繰り返すと現われるのでしょうか。原種とされるティピカやゲイシャだとほぼ見当たりませんので、大まかな判断材料になるかもしれません。ひょっとすると1つの果実に3粒入っていたりとか、どう収まっているのか興味深いです。
自分はまだマラゴジッペに感激した経験がなく、あまりいいイメージがありません。この豆もその交配種なので斜にかまえていたのですが、予想はあっさり裏切られました。マラゴジッペの大味な印象はまったくなく、反対に、繊細な味わいを持った素晴らしいコーヒーでした。やはり品種よりも、産地の気候や土壌といった環境が香味に大きく影響するものなのでしょうか。
花、果実、ハーブ、チョコレートがハーモニーを織り成し、フレッシュで明るく、それはそれは華やかです。エルサルバドルに共通した、美しい女性を思わせる印象です。おそらく水洗式という精選方法のためだと思いますが、透き通った味わいで濁りは皆無、しかもシルキーな滑らかさを持っています。花の蜜の甘味。柔らかくほのかな酸味。穏やかで豊かで、バランスの良さは芸術的です。このコーヒーは気持ちの良い朝はもちろん、一日のうちのどんな時間帯でも、飲む人に静かな幸福感をもたらせてくれます。
この豆はCOEプログラムで27位入賞という結果ながら、スコアは何と86.22もあります。これより上位の豆は、一体どうなってるのでしょうか。。 エルサルバドルは自分にとって特別な親近感があり、このハイレベルさ加減が誇りに思えます。収穫を目前にした現在、エルサルバドルは豪雨に見舞われていて非常事態宣言とのことです。辛い歴史や度重なる自然災害が想像しにくい、妙なる味わいを持つこの国のコーヒーが、1粒でも多く守られるよう祈ります。
● Beans Data ●
生産地: エルサルバドル共和国、アワチャパン県、アパネカ・イラマテペック山脈 品種: パカマラ スクリーン: 規格なし 規格: SHG(Strictly High Grown) 標高: 1,510m 欠点: 規格なし 精選方法: 水洗式(Washed) 収穫年度: 2010/2011クロップ 掲載写真の焙煎度: シティ 備考: Cup of Excellence El Salvador 2011 Program 27位 スコア86.22 Miralvalle (El Zapote), Gustavo E. Urrutia Polanco Y C… Ahuachapan, Apaneca-Ilama