2011年のSCAJではイベント観覧より、セミナーへの参加をメインにしました。産地ごとの違い、気候風土、詳しい精選方法を知ることで、コーヒーにより近づけるのではないかと考えたからです。まずは初日の9/28(水) 11:00~12:30、コスタリカコーヒー学会(ICAFE)の生産国セミナーを受講してきました。
プレゼンを行ったのはコスタリカコーヒー学会、バリスタコーヒー研究所に所属するRicardo Azofeifa Moraさんという方で、ブラッド・ピットを品行方正にした感じのする小柄なイケメンでした。barista campeón de Costa Ricaであり、記念すべき生産国での初開催となったコロンビア、ボゴタでのWBC2011では11位の成績を収め、Qグレーダーでもある申し分のないキャリアバリスタです。
講義のテーマは「200年以上の経験、専門的なコーヒー生産と精選、焙煎とは何か」で、補足は「焙煎について研究することは、私達の原産コーヒーの多様性に拍車をかけ豊かな描写を可能にしてくれる」とあります。
焙煎による香味の影響、直火と熱風による違い、焙煎の終了時間と温度による違い、これらを4つの生産エリアの豆でカッピング検証していきました。各サンプルは、直火と熱風で焙煎した2つが用意されており、カッピングごとにその豆の焙煎プロファイルをプロジェクターで確認しながら進めます。
セミナー会場でカッピングに使ったコーヒーは、エイジングが足りないのか生っぽかったと思います。これは一般の人が美味しく飲むための抽出ではなく、プロが評価するための手法だから当然なのでしょうか。しかし、講演のテーマであった焙煎による香味の違いが明解に分かって面白かったです。味わったことのない、みずみずしい果実の明るい酸が印象に残り、個人的にはタラスエリア、次にオロシエリアの豆が好きでした。
4つの産地ごとにカッピングし、「どちらに甘さを感じるか?」「どちらにチョコレートの酸味を感じるか?」といった問いに挙手で答えます。自分はコーヒー業界と無関係な素人であり、自信のなさもあって胸の高さで小さく挙手したのだけど、そのたびにリカルドさんの射るような目でガン見されて怖かったです。さいわい全部当たったようで一安心でした。
このセミナーは、焙煎プロファイルを中心とした講義内容が高度で、正直なところ理解できませんでした。それでも味覚には小さな自信が持て、焙煎で変わる法則性の驚きと責任のようなものを実感しました。責任というのは、これだけの風味を備えたコーヒーも焙煎次第で生かせない可能性があるという自覚です。自分はコスタリカをはじめとした中米の豆を美味しく焙煎できる確立が低く、トラウマが巣食っています。ますますロースターを尊敬し、生産者に感謝の念を覚えます。リスペクト&エキサイティングな体験でありました。
これを書き終わるころに、生豆本舗さんからメールマガジンが届きました。なんとタイムリーなことに、生豆商社各社によるカッピングセミナーの話題で、コスタリカ7農園の飲み比べというものでした。その中から生豆本舗さんが選んだドンマヨ、ロス・ナシエンテスをさっそく注文しようと思っています。しかもタラスエリアの豆です。
生豆本舗さんは、どんな豆も独自の香味に焼き上げるローステリアではありません。豆の持つ個性と、どこがベストローストポイントかを追究しているローステリアだと思います。豆本来のニュートラルな姿を知りたいと考えるなら、ぜひ生豆本舗さんの焙煎豆を試してみてください。