ブラジル/COE/ファゼンダ サンタ・アリーナ

ブルボン単一種。2010年収穫のパーストクロップにもかかわらず新鮮そうな緑色で、ティピカと見まごうきれいな豆です。ご覧のとおりピーベリーや小粒な丸型の豆も併せて1割弱混ざっているものの、何とも粒ぞろいの美味しそうな豆に見えます。大切に育てられ、収穫から最後の脱殻まで気持ちが行き届いている感じがします。生豆の臭いもサントスにありがちな誇りっぽさはなく、むしろ甘い枝豆を連想させるいい匂いがします。COEへの熱意は本気モードなのでしょう。
ところが詰めが甘い、いい気な外野にはそう映ります。右の写真は鬼のように探しまくった100g中の欠点豆で、部分発酵、浅い発酵、変形や欠け豆が見られます。これはブラジルならではの「No.1は存在しない」という考えの表われなのか、味だけでなく見た目も陽気なラテン系なのかもしれません。COE2010で19位入賞、スコア85.89を記録したのですが、もう少し選別の鬼になればスコア2,3点は上がったのではないかと思ったりします。惜しい気がしつつ、大らかでブラジルらしいじゃないのとも思ったり。

広大なブラジルの国土から見れば、この農園は南ミナスの至近距離にあります。ミナスジェライス州好きなら、飲む前から期待してしまっても無理ないでしょう。というか、期待以上でした。
南国の花の香り、甘いミルクキャラメルの香り、オレンジのような豊かな酸、サトウキビを思わせる甘味、まろやかなコク。十分にクリーンなカップではありますが、パルプドナチュラルながら本当にごくわずかな汚れを感じます。澄みきったコスタリカやエルサルバドルと同時進行していたこともあって、比較が酷なだけかもしれません。

この農園の解説を読むと、懸命な栽培に取組み、精選処理設備や農機具の導入、農場のインフラ整備を進めて品質強化に成功したとあります。さらに作業員が快適に過ごせるよう、無料の診療所を設置したり教会・サッカー場を建てるなど、労働環境の向上を実現しているそうなのです。COE獲得だけにとらわれていないところが何ともいいです。このコーヒーは甘く、飲んでいて楽しくなります。大いに納得です。

 

● Beans Data ●

生産地: ブラジル連邦共和国、サンパウロ州、サン・セバスティアン・ダ・グラマ 品種: ブルボン スクリーン: 風味を競うため、規格なし 規格: 風味を競うため、規格なし 標高: 1,100m 欠点: 風味を競うため、規格なし 精選方法: パルプドナチュラル(Pulped Natural) 収穫年度: 2010クロップ 掲載写真の焙煎度: フルシティ 備考: Cup of Excellence Brazil 2010 Program 19位 スコア85.89 Fazenda Santa Alina  Lúcia Maria da Silva Dias São Sebastião da Grama, São Paulo