巡るドリップ “Drip Style”

 

「巡るドリップ “Drip Style”」 2012年8月22日
有限会社カフェグッズ 営業部長 小林智也氏

私はコーヒーまわりの資材を販売している会社の営業マンです。今回のお話ではドリップコーヒーを扱っているお店や、どういった提供をしているのか、どういった方法で抽出をしているのかなど、動画やスライドを見ていただきながらご紹介していきます。

※スクリーンには西海岸のカフェのスライドショウがすでに始まっており、おしゃれな店の様子が次々と映る。しばらくすると映像に合わせた音楽も流れる

サンフランシスコ、ポートランド、ロサンゼルスなど、今年4月に行ってきた主に西海岸のカフェやロースターで、ドリップを扱っているお店です。2年前に行ったシアトルのカフェに比べると、ケメックスやハリオのV60を使ってドリップをしている店は多かったですね。意外だったのは、フレンチプレスでのコーヒーをメニューに入れているところが思ったより少なかった印象でした。
ただ、ここではドリップスタイルしか出てきません。皆さん、西海岸の人たちはずいぶんドリップ飲んでるんだなと思われるかもしれませんが、実際にはカフェラテとか、ほとんどがミルクを使ったエスプレッソ系のドリンクを飲んでいる人たちが多かったです。
これはカフェではなくSCAA、アメリカのスペシャルティコーヒー協会が開催している競技や展示の会場で、色んなブースで面白いオリジナルのドリップスタンドが見られました。はい、この人、すごくいい笑顔でコーヒー淹れてますね。
>会場・盛り上がる

ここはサンフランシスコのカフェ、サイドグラスです。入り口にはエスプレッソマシンを置いています。2階もあってすごく広くて、いいお店でした。
ケメックスとV60で抽出してます。アメリカで見たドリップスタイルのほとんどは、このようにスケールを使って抽出量をしっかり管理しているところが多かったです。
これは焙煎機ですが、まわりに手すりをつけて、まるで劇場のように仕立てているんですね。焙煎していれば、それをお客さんが見ながらコーヒーを飲めるようになっています。
続いてサイドグラスの抽出動画を見ていただきます。ここは比較的日本の淹れ方に近いような印象でした。抽出スタイルや店員さん、誰かと一緒に飲むコーヒーの美味しさなど、そういったことをひっくるめてカフェの雰囲気を見ていただければと思います。
それと行ってきた店の多くは、ドリップのペーパーを濡らしてから粉を入れるスタイルでした。日本でも、そういうお店はありますね。ただ、メッシュは非常に細かいところが多かったです。

ロサンゼルスのベニスにあるインテリジェンシアです。このドリップスタンドは市販じゃなくオリジナルではないかと思います。だいたい熱源がない店が多かったんで、こういった湯沸しを置いていました。どうですか、このお店もおしゃれですよね? こういうところに座って飲むコーヒーも、来ているお客さんまでおしゃれですね。
>会場・笑い

※ここでインデリジェンシアでのドリップ抽出動画が映る。ラフな感じでドリッパーに湯をなみなみ注ぎ入れ、ヘラのようなものを使って中を撹拌し始める
>会場・ざわめく
かなりもう、コーヒーが大嫌いなんじゃないかってぐらいグチャグチャにかき回してますよね。
>会場・笑い

※大き目のマグカップとポットに入ったコーヒーの画面。半リットル近くはあろうかという抽出量
どうでしょうこれ? 見た感じ、美味しそうですか? ぼく飲んだんですよ、これ。
>会場・爆笑

※続いてハリオのケトル2つを、腕を交差させてかまえるシーンが映る。これは誰の目にも、何かとてつもない技が始まると予想させた
>会場・息をのむ
これを目の前で見たときは、どういう風に淹れるのかなーとずっと考えながら動画撮ってました。どうでしょう。もう、だいたオチが分かっちゃった感じですかね?
※交差させていた腕が開き、右手のケトルから普通に湯が注がれた
2つ持ってただけで、入れるのは1個づつでした。
>会場・爆笑
英語が堪能なら「なぜそのように持っているんですか?」と聞けたんですけど。おっと第2撹拌ですね。。
>会場・どよめき
サイフォンの抽出を見られた方は良く分かると思います。それとこの撹拌がどう関係しているのか、ちょっとぼくには分かりません。
蒸らしの段階でかき混ぜてる人と、抽出のお湯を注ぐ人が入れ替わっていましたよね? おそらくインテリジェンシアの中では、何かそういう経験度の違いで役割分担があるのかもわかりません。
だいたいですね、向こうのドリップコーヒーはPouroverとかHandbrewなど色んな呼び方があるんですけど、値段はカフェラテと同じぐらいの4.5$~5$とやや高めです。そのかわり量が多いんです。ひじょーにこれ、罰ゲームなんじゃないかっていうぐらい量が出てきますんで。
>会場・笑い
※湯が注がれたままの、落ちるのが遅くなったドリッパーが映る

もう完全にこれは放置ですね。忙しい店はいいと思うんですよね。上まで入れて放っておけば落ちていますから。いったいどんな味になるのか、皆さんもぜひご家庭で試してみてください。
いかがでしたでしょう、今のインテリジェンシアの抽出。どうして彼らはかき混ぜるのか、なんでまたお湯を上まで足してさらにかき混ぜるのか? 聞いてないんで分からないんですけれど。
>会場・笑い
来年もし行く機会があれば、今スピードラーニングで一生懸命勉強してます。
>会場・爆笑
1年経って喋れるか分からないですけど、機会があれば頑張って聞いてみようと思います。はい。
次は、日本のお店紹介に移ります。もちろん日本には何十年ドリップしている店、あとネルドリップしてる店はたくさんあります。今回は基本的にエスプレッソマシンもあって、ドリップコーヒーを提供しているお店を中心に紹介します。

渋谷区神南に7月末オープンしたフィルバート・ステップスです。赤や白のカラフルなドリッパースタンドが見えますね。最近こういったドリップスタンドを使ったお店が若い人たちを中心に広まっています。新しく自分たちでオリジナルを作って、ドリップ表現しているところが増えています。ここも色んな中から、好みの豆を選べます。

こちらはボンジュール・ブラウン・ウォーターです。アパレル会社のJUNがやっているカフェで、やはりオリジナルのドリップスタンドですね。デザイナーさんに聞いたところ、12個作ったうちの1つとのことです。それぐらいスタンドにこだわっているわけです。すみません、残り時間がないので駆け足でいきますね。

このお店は武蔵小山のアマメリアエスプレッソです。ご覧になってみて分かりますか? KONO式の大き目のドリーパーに対し、ひと回り小さなサイズのペーパーを使っています。理由は、空気の抜けが良くなるんじゃないかっていうことでこうされてるようです。

途中割愛して最後に動画を1本だけ。福岡のマンリーコーヒーさんで、この須永さんという方はドーナツドリッパーに出会ったとき、おしゃれコーヒー器具なんじゃないかと思っていたそうです。ところが使ってみたら非常に面白い抽出ができるということで、今お店ではこれを使っていますね。まろやかでやさしく、丸い感じ。しっかりとコーヒー感があって、後味が軽い。まったくぼくは聞いてて分からなかったんですけど、間違いないのはすごく美味しかったということです。渋谷のヒカリエ1Fにコーヒー屋さんが入ってまして、そこでもドーナツドリッパーを使っていましたね。

ジャパン・ハンドドリップ・チャンピオンシップ(JHDC)という、日本で初めての大会が始まり、175名の方が予選に参加してくださいました。皆さん淹れ方が違うんですね。それぐらいドリップって個性が出せるし、面白いものだと思うんです。今回のこのコーヒーサロンをきっかけに、皆さんが素敵な楽しいドリップコーヒーを色々試していただければいいなあと、お手伝いさせていただきました。短い時間ではございましたが、ありがとうございました。
>会場・大きな拍手

小林氏は冒頭で、「こういう講演は初めてでかなり緊張している」とのことでしたが、めちゃめちゃお話し上手です!  面白さにひきつけられ、あっという間に終わってしまったというのが率直な感想です。西海岸のカフェの雰囲気を感じることができましたし、わくわくするような臨場感たっぷりな講演でした。コーヒーというカップの中の液体だけでなく、さまざまな角度から丸ごとコーヒーを楽しもうというエッセンスにあふれていました。楽しかったです!

 

有限会社 カフェグッズ
http://www.cafegoods.com/