「ドリップの不思議」 2012年8月22日
石光商事株式会社 研究開発室室長 石脇智広氏
簡単なようでいて奥が深いドリップの世界。講師の石脇氏は、科学的な検証をドリップ抽出に反映させ、誰にでもわかる平易な言葉で語ってくださいました。ともすると易しすぎる印象があるかもしれませんが、それは専門用語を排除しているからで、内容そのものはかなり高度です。
石脇氏はJCQA「コーヒー検定教本」の主筆であり、コーヒー鑑定士講師でもあります。普段のお仕事のほとんどは、コーヒーに関連するプロが対象でしょう。今回の講義はアマチュアでも理解できるように、極めつけに分かりやすいイラストも加えられて感激しました。内容の詳細を再現するのはマズイので、残念ながらここには書けません。講義の流れとヒントは、「Cafe Higuchi・マスターのひとりごと」をご覧ください。
講義の趣旨や詳しい内容を知るには、著書 “コーヒー「こつ」の科学 コーヒーを正しく知るために” を手に取るのが一番だと思います。
コーヒーにはどんな成分があるのか? 抽出速度の違いを知り、抽出の原理を知ることで、どこを調整して行ったら美味しいコーヒーに近づけるのか? 疑ってみる、試してみる、積み重ねを反映してみるといった科学的アプローチに満ちていて、読みながら淹れるのはとても楽しいです。この本は、実際に美味しいコーヒーを淹れる手助けになりますし、さらにコーヒーを好きになれます。
もしこの本が完全に頭に入り、誰にでもすらすら説明できるようであれば、すでに相当なエキスパートなんじゃないでしょうか。まだ読んでいない方には、ぜひお勧めします。
今回の講義で個人的に共感したのは、ドリップ用の濾紙に臭いや色が出る製品もある、抽出液の濃さにまどわされない、という点でした。これらは先の著書でも触れられています。また、アルコール式温度計(ガラス製で赤い液柱のよくある温度計)は誤差が大きめ、グラインダーは回転を安定させてから豆を投入すると粒度のばらつきを減らせられる、という点は自分で確かめていなかったので驚きでした。素晴らしい授業でした!!
石光商事株式会社
http://www.ishimitsu.co.jp/
「コーヒー“品質”」の専門サイト
http://www.qualityofcoffee.com