ひと月半ぶりにネルドリップしてみました。ネルの管理は、お湯で良く洗って水気を切り、冷凍庫の臭いが移らないようZiplockコンテナで密封して凍らせてあります。だいぶ時間が経ってしまったので、コーヒーで煮たあと、さらに真水で10分ほど煮沸。水気を切って準備OK。
24gの豆を中荒挽き、85℃の湯、30秒ほど蒸らしてから早めに注ぎました。上げるまでちょうど3分、抽出量はスケールで280gでした。試しに同じ高さで温度を計ってみたら70℃ ! 室温18℃ぐらいだと意外に冷えるものなんですね。。
美味しいです。焙煎から2ヶ月近く経ったコーヒーでも、かすかに果実感はあって、甘みを伴う酸味が出ました。濃さはほど良く、ネルドリップらしいコクやまろやかさも感じられます。AeroPressで暴かれた良くない味は、不思議と出ていません。ていねいに、かつ雑味が出ないように淹れると、下手でもまずまず及第点のコーヒーが飲めるようです。とろりとして、飲み終わったあとの甘みも心地いいです。
※同じ条件の180cc抽出も案外濃すぎず、許容度の広さを実感しました。
大好きなカフェのマスターに教えてもらいました。
「ネルドリップに使う豆は、言い方は悪いけど古いぐらいが美味しく飲める気がします。エイジングしないと刺々しいというか、ネルという抽出方法に新しい豆は向かないかもしれません」
ランブルや機屋は、生豆自体を何年も熟成させたオールドビーンズを焙煎するのが特徴です。古いといっても根本的に違いますが、どこか通じるものがあるような気がして、マスターのお話に納得しちゃいました。
実際に新鮮なスペシャルティコーヒーで試してみると、フレンチプレスやAeroPressで飲む方がはるかに美味しかったです。もちろんネルドリップの技術が無いせいもあるでしょう。自分は新鮮なとっておきの豆を手に入れたら、まずフレンチプレスやAeroPressで淹れます。温度や時間と量を守ればブレようがなくて、技術が未熟でもかなり美味しく淹れられるからです。でも、寝かしすぎて旨くなくなってしまった豆が、ネルドリップによって別物のような表情を見せてくれました。
コーヒーがどの産地で栽培され、どのように精選され、どんな品質で届いた生豆なのか、どんな焙煎で仕上げられたのか。これらは、カップに現われる驚きや楽しさを左右する大きな要素に違いありません。コーヒー業界に従事していない一般人の自分にできることは、大変で長い工程の一番最後、抽出です。抽出方法には簡単なものから奥深いものまであって、本当に面白いです。たぶん、死ぬまでやめられません。