ブラジル/エスプレッソレディ

写真は左側に大粒を、右には丸型の小粒を集めています。スクリーンサイズ16upというのは16以上を意味するようで、実際には18を超えるものが全体の半分ほど入っていました。中にはマラゴジッペか?というほど大きなものまであったり。大粒がたくさんあるせいか、丸い小豆はやたらと小粒に見えます。ただ、計ってみるとちゃんと16ありました。1スクリーンサイズとは64分の1インチなので、この豆は 16 x 25.4 ÷ 64 = 6.35mm。センターカットを垂直に立てた状態で横幅を計るわけですが、小さく見えても丸豆の横幅って意外とあるのでした。
それともうひとつ、欠点豆が入りやすい精選方法のナチュラルを混合してあるのに、重箱の隅をつつくように探して100g中2粒しかありませんでした。しかも、ふだんなら外さない、欠点豆とは呼べない程度のものです。写真はサイズや形の違いが分かるように並べていますが、豆全体としての精製度の高さは、末尾のBeans Dataを見てもらうと良くわかると思います。色もきれいな緑色にそろっていて、この写真よりもBeans Dataの方が実際に近い生豆の色を再現できています。

品種についてはブルボンとイエローカトゥアイ他、とあります。センターカットがややS字のものがブルボンで、真っ直ぐなものがカトゥアイなんでしょうか。知識がないので、自分にはまったく分からないです。先の写真では形と大小の違いこそあれ、不思議とバラバラな印象がありません。センターカット面はほぼすべてフラットで、見れば見るほど兄弟といっていい近い品種がまとまっているような印象を受けます。

エスプレッソに最適なコーヒーをコンセプトに、完熟実でも過熟実に近い、深い赤色のコーヒーチェリーが特別に集められているそうです。実際に抽出してみると、何ともバランスのいいエスプレッソを楽しめました。まず甘みが立ち、ふくよかな酸味と苦味があって、エスプレッソは苦手という人にも飲めてしまいそうなまろやかな仕上がりです。ボディは足りないものの、好みでブレンドしていくと普段飲みの「外さない豆」となるに違いありません。甘みに意識を集中すると、かすかにチョコレートや果物にもつながって、明るいけれど派手過ぎないまったりラテン系といえばぴったりでしょうか。ドリップやプレスでも、とにかく甘くて美味しいコーヒーです。

生豆本舗の岡崎さんに伺った話によると、たいていの場合商社から輸出業者にエスプレッソに合うコーヒーを作ってほしいと依頼し、希望価格に合わせて産地のカップテイスターが色々テストした結果、ナチュラルとパルプドナチュラルの混合ブレンドになったのだろう、とのことです。また、欠点数を合せるために、ナチュラルとパルプドナチュラルは日常的にブレンドされているのだそうです。ポジティブに捉えると、ブラジルのように広大で、かつ大小さまざまな農園があると、味を作ってゆくカードは山ほどそろっているのかもしれません。

 

● Beans Data ●

生産地: ブラジル連邦共和国、ミナスジェライス州・プラナウト農園 品種: ブルボン・イエローカトゥアイ他 標高: 1,100~1,200m 規格: No.2 スクリーン: 16up 欠点: ~11 精選方法: 非水洗式とパルプドナチュラルの混合(Mixture: Natural & Pulped Natural) 収穫年度: 2010/2011クロップ 掲載写真の焙煎度: フルシティ