ブラジル/カルモデミナス IP農園

ブルボンという品種はマダガスカルの東700kmほど沖合いに位置するレユニオン島が起源のようで、島流しさながらの孤島がルーツとは何やらドラマチックです。ティピカの突然変異種とのことで、ティピカより丈夫で収量が多いとあります。一方で、「コーヒーが中米に伝わる以前にブルボン島に移入されているため辻褄が合わない」とwikiに記載されていて、起源や伝搬は何が真実なのかわかりません。いずれにしろアラビカ種は自分の花粉で受精する自家和合性ですから、度重なるハリケーンに鍛えられ、素早くたくましく進化していくうちに突然変異を起こしたのでしょうか。
この豆もスクリーン16upとあるものの、実際は17ありました。黄色い実をつけるブルボンアマレロ1種と特定しているだけに、形、大きさ色ともに揃っていて、とてもきれいです。100g中の欠点は、割れ豆、白豆、黒豆がひとつづつの3粒だけでした。センターカット面はわずかにくぼみがあるものの、ほぼフラットで、ゆるやかにS字を描いて片側で切れ込んでいるものが多いです。ティピカほどはっきりしておらず、ぱっと見は真っ直ぐに見えます。ただ、ティピカに混ぜてしまえば自分には見分けられそうにありません。

新鮮なコーヒーはどれもそうなんですが、特にこの豆は挽いた直後の香りがむせ返るほどのボリュームを持っています。明らかに揮発性のガスで、甘く濃く色彩のある香り爆発といった勢い。同じような印象はカップにも表われ、口に含んだとたん甘い香りと味が弾けます。丸く豊かで、色彩が浮かんでくるような明るい甘さといえばいいでしょうか。もうひとつの印象的な個性は、しっかりした上質の酸味です。ブラジルは酸味が少ないという常套句は、現在はまったく通じないでしょう。自分の知る範囲では、ミナスジェライス州産のコーヒーはどれも明快な酸味を持っています。精選方法がパルプドナチュラルのためか、まろやかなのにクリーンな酸味です。また、甘みや酸味、苦味を引き立てるコクを備えているのも大きな特徴だと思います。重厚さではなく、芳醇さにつながるボディです。単一品種でここまでのバランスの良さに仕上がるのは、豊かな土地と歴史あるコーヒー観を持つミナスジェライス州ならではという気がしてなりません。

 

● Beans Data ●

生産地: ブラジル連邦共和国、ミナスジェライス州南部、カルモデミナス IP農園 品種: ブルボンアマレロ 標高: 1,100m 規格: 独自 スクリーン: 16up 欠点: ほとんど無し 精選方法: パルプドナチュラル(Pulped Natural) 収穫年度: 2009/2010クロップ 掲載写真の焙煎度: フルシティ