Tap or unTap?

タンパーでポルタフィルタをタップ(ノック)する理由は、圧着されずに残った粉を払い落とすのが目的です。ところがこの衝撃が強ければ、せっかく安定したケーキをバスケットから浮かせることになります。浮いた状態に圧力がかかれば、隙間のできた外周に湯が通るのは当たり前でした。

ケーキが湯を含んで膨らみ、バスケットの隙間を埋めるまでの間かなりの湯が落ちています。この液体は、ほぼ外周を通過しているだけですから、抽出不足で酸の目立つ液体です。これに続いてケーキ本体を透過する液体も、実質的に抽出時間は短くなるために酸が目立ち、外周では抽出過多の雑味を伴った苦い液体を落とします。これではいくら良い豆を使っても、旨いエスプレッソを抽出できるわけがありません。カッコいいからとプロの真似をして、自ら味わいの乏しい悲惨なショットにしていたのでした。経験を積んだバリスタはタップしないか、タップしてもこれらの失敗を起こしません。絶妙としか言えない圧力配分でタンピングしており、最終的にケーキを安定させてバスケットに収めているからだと思います。

TSUBASA ESPRESSO @T_ESPRESSO 9月5日
Reinventing Espresso/nonsense techniquesの例として、タンパーでPFをノックすること。他に、タンパーを回してポリッシュすること、blondingを抽出停止のサインにすることも。これまでの常識が常識でなくなりつつある、のか!?

つい表面だけ見て真似しがちなので、たまには意味を考えたり疑問を持つよう気をつけています。@T_ESPRESSOさんのツイートを読んだとき、すでに気づいてタップを止めていた自分を褒めてしまいました。タップするのは、まともなエスプレッソを淹れられるようになってからでも遅くありません。経験が浅い者のタップはゴールを遠ざける、というのが失敗から得た教訓です。

James Hoffmann – Reinventing Espresso
ギャレス・マローンに見えてしかたない。。