重曹は、乳化効果によって油汚れや茶渋をよく落とします。もちろん中性洗剤ほどの洗浄効果はありませんが、ことコーヒー器具の洗浄に関してこれほどうってつけな洗剤はないように思います。食品用重曹は人体に安全と確認され、少々器具に残ったとしても心配ありません。しかも水質汚染物質や環境ホルモンを含んでおらず、汚れや臭いの原因をよく分解・洗浄してくれます。
フレンチプレスは誰でも簡単に美味しいコーヒーを楽しませてくれる優れた器具ですが、残念ながらちょっとした難点を抱えています。粉を押さえるプランジャーの構造が複雑なため、付着した微粉や脂質を洗い落とすのが案外難しく、残った脂質が変質しがちです。濾紙を使って微粉を除く方法でも同じように脂質は付着します。
普段と同じ淹れ方で、コーヒー粉を入れずにお湯だけを味わってみるテストをしてみてください。きれいに洗っている人ほど、その臭いと不味さに驚かれるはずです。ついでに器具を重曹で漬け置きしてみると、その汚れに2度びっくりすることでしょう。フレンチプレス、ポルタフィルターまわりはもちろん、コーヒーに接触するすべての器具は汚れていると実感できます。
フレンチプレスの洗浄方法は、小さじ１杯の重曹パウダーを入れて水を半分ほど注ぎ、プランジャーを挿入して重曹が溶けるまで上下させます。 その後プランジャーまわりの気泡を取り除いて、底に沈めれば完了です。このまま一晩、あるいは次回使うまで放置しておくことで、かなり除去できます。その日のうちであれば重曹溶液は効果を発揮しますが、水に溶かすと自然分解して洗浄能力が落ちます。一晩経ったら新しい重曹に替えるのが望ましいでしょう。また、熱湯は一気に分解してしまうため使わないようにします。
普段使いのドリッパーも、リブ部分などは落ちない汚れがこびりついているものです。ちょうどいいサイズの容器（またはビニール袋）に重曹を溶かし、一晩漬け置きすると洗い落とせます。あとは熱湯で器具をすすぐだけです。